黒岡衛星の1日1枚1言

この"ブログで音楽の話しかしたくない"がすごい!第一位

Slapp Happy『Acnalbasac Noom』('80)

 

本来は2ndとして1973年に録音されていたものが1980年になってようやく日の目を見たもの。公式なセカンド・アルバム『カサブランカ・ムーン』と基本的には同じ構成で、向こうはスタジオ・ミュージシャンが、こちらはドイツ・ロックのファウストがバックを務めていますとまあ枕だけで長くなってしまう素性のアルバムではあります。後にスタジオ・ミュージシャンにやらせても成立するような曲が入っているだけあって所謂プログレのしかもドイツ・ロックとしてはかなりポップなんですけど、まあ相方が『あの』ファウストとなればそうなりますよねといういびつさと隠しきれない狂気が漏れ出ていてこりゃお蔵入りにもなるわと。ロマンチックな雰囲気をブチ壊していくサイケなアレンジはいっそ痛快ですらあります。確かにこれは売れないだろうなと思いますけど、じゃあスタジオ・ミュージシャンにやらせたら売れ線になれたかっつうと、その辺は聴き比べていただくとして。そういうことができるのも今作の面白さ、ということも言えるかと思います。