黒岡衛星の1日1枚1言

この"ブログで音楽の話しかしたくない"がすごい!第一位

冨田勲『火の鳥』('75)

 

日本におけるシンセサイザー・ミュージックの第一人者として知られる冨田勲の、シンセ作品としては3作目にあたりますか。『火の鳥』つながりなのか虫プロ関係なのか手塚治虫のジャケも神々しさと禍々しさが対比されたすばらしいものですが、鳴っている音楽もまた『(オーケストラのように)壮大』という枠でははかれない、シンセサイザー・ミュージック並びに世界のトミタならではのものであります。表題が示すとおり。ストラヴィンスキーの「火の鳥」、またドビュッシーマラルメにあてて描いた「牧神の午後への前奏曲」、ムソルグスキー「はげ山の一夜」といった楽曲をユニークな調理によって今なおオリジナルな表現へと昇華しています。今でこそDTMエレクトロニカといったジャンルも要素も当たり前になってしまいましたが、究極のアナログ性、ならびにそれを天才がコントロールすることによってしか生まれ得なかった音楽としてスペシャルなものであると断言できます。プログレッシヴだなー。

老人の仕事『三』('24)

asunaroworks.kawaiishop.jp

ダブ・メンが正式に加入してから初の音源ということで、さらにはチェロとヴォイス・パフォーマーがゲスト参加しての音源ということで前作よりもさらに音楽性が広がっております。3枚目にして初のセルフタイトル楽曲「老人の仕事」から強烈!シンプルなリフをコスミックなサウンド・エフェクト、虚無からのうなり声が妖しく彩り時間感覚がおかしくなりかけたところで展開一発、脳が沸騰するような興奮をぶつけてきます。つくづくドゥーム・メタルは時間芸術とサイケデリックの様式を併せ持った音楽であるということを再確認させられる次第。邪神召喚の儀式のようである一方、どこまでもクールなミクスチャー・ロックとも言えるようなこのバランス感覚はひたすら独特。大音量のスピーカーでも、ヘッドフォン・リスニングでも、外宇宙から内宇宙まで自由自在なフル・アルバム・サイズの全3曲。すごいもん聴いた。

老人の仕事『二』('22)

asunaroworks.kawaiishop.jp

わかりやすくドゥーム・メタルだった1stからダブやメタル・パーカッションといった要素を加えたタイトル通りの2枚目であります。あくまでドゥーム・メタルであるという軸のところは変わらず、またオールドなスタイルであるにも関わらず独特の和っぽさであるとか少しずらしてくる感じはこのバンドならでは。酩酊の一言であります。今作から中村宗一郎が録音を担当しているというのもあり、音量をグイッと上げたくなる録音もすばらしい(前作もあれはあれで良かったですが)。「月世界」でのダブ処理に顕著ですが、踊れるといえばどこまでもダンサブルでハードなロックがここにあります。キまるなー。

V.A.『Case of Telegraph』('90)

 

店頭で見かけて、あまりにもあまりの面子にそのまま購入してしまいました。テレグラフというレーベル関連のアーティストによるショウケース・ライブの様子を収めたコンピレーション盤。その後コンプリート盤も出たようですが、1枚でまとまっているこちらも悪くないと思います。いわゆるノー・ウェーヴというかポスト・パンクというか、80年代前半の独特なにおいが立ちこめる演奏の数々はどれも非常にユニークかつカッコよく、今なお格別に響きます。どこまでもアートであり自己表現。テクノロジーとテクニックと衝動のはざまにのみ現れた表現がたっぷりCD1枚分楽しめるということで、今でも聴く意義は十二分にあるのではないでしょうか。カッコいいなあー。

the pillows『GOOD DREAMS』('04)

GOOD DREAMS - the pillows

GOOD DREAMS - the pillows

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トモフスキーによるジャケットも鮮烈な2004年作です。当時の、いわゆる3期というか後期キングというかの時期でどのアルバムがいいというのを選ぶのは大変に難しいのですが、そんな中で今作はなんかこう、最高傑作と呼ぶにはやや影が薄いにも関わらずリピートしがちな作品であります。作風としてはまさにこの頃のピロウズが持っていた、ポスト『フリクリ』のジュヴナイルなオルタナギターロックなんですが、15周年にして肩の力が抜けたアンサンブルと冴え渡るソングライティングが堪能できるいいアルバムです。昔からあったという楽曲「天使みたいにキミは立ってた」から15周年記念ソング「未来は今」まで充実のアルバム。いつ聴いてもいつまでもカッコいい。

V.A.『LoveLive! Series 15th Anniversary Tribute Album』

 

オタクの端くれとして初代『ラブライブ!』は聴いたり観たりしていたもので感慨深く聴いてみました。タイトルの通り、参加メンツもジャケの通りの作品ですが、これはいいですね。ただのカラオケ集にとどまらない、各チームが編曲からガッツリとカラーを出して勝負した楽曲が並びます。大井競馬場かと錯覚するようなウマ娘の「僕らは今のなかで」、職業歌い手かくあるべしという愛と技巧が炸裂するado「Soldier Game」、原曲のシューゲイザー色をゼロ年代オルタナへと換骨奪胎した異色のロックナンバーV.W.P「窒息」、よりによって広川恵一による笑撃のマッシュアップらき☆すた「キラーキューン」など、アルバム単位で愛を感じるいい作品でした。今は原曲をサブスクで聴けるのもありがたいですね。

老人の仕事『一』('17)

roujinnoshigoto.bandcamp.com

日本のドゥーム・メタル・バンドによるこれは1stですかね、YouTubeに上がっていたフリーライブの映像を観てこれはヤバいと音源をまとめ買いいたしました。後にダブ処理のメンバーが参加したりチェロやボイス・パフォーマンスがゲストに加わるのに比べるとこの頃はまだシンプルなドゥーム・サウンドでして、ギター/ベース/ドラムに遠くから聞こえる謎の呪詛、といった感じで大変におっかなくもカッコいいです。要所で差し込まれるフルートの響きにも風情があり、あくまでスローながらもトランシーで妖しいグルーヴが渦巻く魅惑の全3曲33分でありました。オールドスクールなロック好きにもお薦めです。