黒岡衛星の1日1枚1言

この"ブログで音楽の話しかしたくない"がすごい!第一位

ヤミアガリ『眼ニテ云フ』('15)

 

眼ニテ云フ

眼ニテ云フ

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Shikisai Compilationというネットのコンピレーション・シリーズで見かけた「理科室」という曲がとにかく良くて聴き始めた人たち。ポストロックを通過したエレクトロニカ・ポップス的な柔らかい音色をバックに歌われる真っ直ぐな女性ヴォーカルがとにかくいいですね。それでいてユニット名通りというか一筋縄ではいかない、青春の仄暗いところまで見通すような感じは昔ジャングル・スマイルなんかを聴いたときのことを思い出します。胸がキュッとなる感覚。

shikisai compilation Vol.2 | KUSANONE Label

Peter Hammill『Fireships』('91)

 

Fireships

Fireships

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もちろん嫌いということはなくともヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターというバンドに今ひとつ入り込めない僕としてはどちらかというとこういうピーター・ハミルシンガー・ソングライター的な側面にこそ惹かれる感があります。91年という録音タイミングだからこそのニューエイジ的なサウンドメイクは好みの分かれるところかもしれませんが、シンプルで美しい歌を引き立てるような良いアレンジだと思います。何よりこのアルバムはピーター・ハミルという人のしっとりとした歌声が楽しめる作品として、たとえばセックス・ピストルズジョン・ライドンが影響を受けたようなパンキッシュな叫びとはまた違った歌の表現を聴かせてくれるので強くおすすめしたい作品です。あまり目立たないけど代表作の一つと思う。

SS『LIVE!』('07)

 

SS LIVE!

SS LIVE!

  • アーティスト:SS
  • インディーズ・メーカー
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もうなんか、速い。以外の感想が浮かばないというか、曲であり歌としての体裁を保ちつつこの速度でバンド、サウンド、『音楽』をやろうとすることって成立するのか……みたいな。そんな音楽かっこいいに決まってるんですよね。荒っぽい録音も相まって最高っす。

スガシカオ『イノセント』('23)

 

なんかこう、特別に好きなアーティストというわけではないんですけど、たまーにいい角度で刺さるのが僕にとってのスガシカオなんですよね。今作はなんだか昔のようなシリアスでエロティックな雰囲気もありつつ、多様なプロデューサーを相手にしてみたり、別働隊ファンクザウルスによるスキットを挟んでみたりと野心的な作品。彼を普段から追っているとまた印象が変わってくるのかもしれませんが、個人的にはかなり気に入りました。ぐっと来ちゃったな。

Kit Watkins『Azul』('89)

 

Azure by Kit Watkins

Azure by Kit Watkins

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プログレ関係のキーボーディストによるソロ作品で、わりと知られたニューエイジ名盤ぽいですね。こういったシンセサイザー音はこうやはりタンジェリン・ドリームやパトリック・オハーンなんかのプライヴェート・ミュージック在籍時のサウンドとかで馴染みがあるんですが、最近だとゲーム・ミュージックが違う角度からこっちに接近している気もします。まあ結果的にシンセサイザーが表現する雄大な自然とかSF的な未来ってゲームのそれとも共通のヴィジョンだったりもしますしね。でもってヴェイパーウェーヴ通過後に聴くとまた一周回って今感もあるし。とまあ諸々語ってはみたもののこういうサウンドって僕の根っこのところのものなんで抗えないんですよね。好き。

二階堂和美『二階堂和美のアルバム』('06)

 

初期のインパクト大な作風ももちろんすごいんですけど、なんとなく思い立って手に取りがちなのはこのアルバム。とにかくいいアレンジのいいうたが詰まった、シンプルにいいアルバムなんですよねえ。イルリメをプロデューサーに立ててSAKEROCK赤犬などの(アヴァンよりな)アコースティック・アンサンブルやレイ・ハラカミのようにあたたかみのあるエレクトロニカも導入した文句なしの名盤だと思います。「Lovers Rock」名曲だなあ。

サニーデイ・サービス『FUTURE KISS』('00)

 

FUTURE KISS

FUTURE KISS

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大好きなアルバム。解散寸前に幼稚園でミニライブ、ということで騒ぐ園児たちの元気さに気圧されつつもゆるーいテンションで演奏していくのが本当に良い。『スライ・ストーンお兄さんのカバー』である「Somebody's Watching You」は和訳もすてきだし、一方で大瀧詠一の冗談ファンク「びんぼう」など選曲もいい。最後はちゃんと「NOW」で決めるのだけれど、なんというかこれが(当時の)最後だったんだなあって思うとなかなか考えさせられる演奏。未来にキスを。好きだなあ。