黒岡衛星の1日1枚1言

この"ブログで音楽の話しかしたくない"がすごい!第一位

BUCK-TICK『極東 I LOVE YOU』('02)

 

BUCK-TICKに駄盤はないですが今聴くならと思って手を伸ばしたのは今作。『9.11』をめぐる世界の動きを受けての作品、ということでシリアスではあるものの、いつものユーモアも失わずあくまで軽快なロックとして、それでいて強烈に戦争と平和、愛と死を歌うさまはきっとこのバンドを聴いたことがない人ほど驚かされるのではないでしょうか。その後繰り返されていくテーマではありますがそんなテーマをずっと繰り返さなければ届かない、繰り返しても届かないような世の中のまま我々は2023年を終えようとしているわけで。何ならこんな古臭いアルバムは聴かなくてもいいよ、と言える方が健康的なのかもしれませんね。けれど人間は愚かでBUCK-TICK櫻井敦司はその闇を歌い続け、今作は今なお説得力を失わずにいるわけです。ただ名盤と言い切るのも憚られるような、聴いた人間の人生に干渉するようなアルバムの一つでありましょう。取扱注意。