カーネーションによる、彼らの映画の主題歌を含む11人編成でのライブ・アルバムであります。ひねくれた印象のあるカーネーションというバンドですが、ゼロ年代は主に3人で活動していたというのもありシンプルなバンド編成をベースとしたタフなサウンドを鳴らしていたわけですが、今作はホーン隊やコーラスを交えてゴージャスな演奏に仕上がっております。とはいえ骨子にあるのはあくまでそのソウル由来なグルーヴとグッドなメロディ。当時の最新作である『WILD FANTASY』収録曲を中心に、90年代の楽曲なども織り交ぜた選曲はどちらかというとライブでの定番曲が中心という感じで、代表曲とされるような楽曲は森高千里版で知られる「夜の煙突」くらいでしょう。なのでベスト盤的に楽しむというよりは彼らのグルーヴと(繰り返しになりますが)浮き彫りになるタフさを味わうものになるかと思います。カッコいいなあ。
Kevin Ayers『The Confessions of Dr. Dream and Other Stories』('74)
ケヴィン・エアーズ5枚目のアルバムなんですが、最初に言っておくとこれはプログレ好きが聴いたらいいです。元祖カンタベリーなシンガーソングライターとしての歌心に、今作はB面をいっぱいに使った組曲もあってこれはいよいよキャラヴァンの如し。一方でオリー・ハルソール(パトゥやラトルズなどで知られる)やサイモン・ジェフス(ペンギン・カフェ・オーケストラ)などのサポートはプログレというよりも正統派のブリティッシュ・ロック的な味わいがあり、ジャンルプロパー的なプログレが馴染まないという人でも楽しく聴けるのではないかと。独特のキャラで人を選ぶかとは思いますが、音楽は万人に開かれていると思います。もっと聴かれていい。
花澤香菜『Blue Avenue』('15)
配信で観たライブが素晴らしかったので聴いてみました。Studio Apartmentややくしまるえつこが手がけたシングルを始めとしてex-Cymbalsの矢野博康やNONA REEVES、さらにはSwing Out Sisterなども関わった豪華な3rdアルバムであります。なので個々の楽曲にはサウンドの幅があるのですが、全体を通してあくまで北川勝利フロムRound Tableのプロデュースと当人の歌唱が『作品』としてまとめ上げています。また錚々たるセッション・マン達が支える生音もどこまでもタフ。当時隆盛していたシティ・ポップへの目配せもしつつ、今聴いても強度とリラックスが同居した素晴らしいサウンドです。これは当時からちゃんと聴いておけば良かったですね。反省とともにやはりアーティストは一度ライブを観てみるべきだなということを再確認しました。きっと当時から凄かったんだろうなー。
カーネーション『SUPER ZOO!』('04)
いわゆる『トリオ時代のカーネーション』です。いつにもまして骨太なドラム/ベース/ギターのシンプルなロック・サウンドを中心に、偏屈さよりもストレートさが伝わるような作品ということで、長いキャリアのあるカーネーションではありますが実はこのあたりから聴いてみるのもいいのかも、と思えるような作品です。特にそれこそ当時の下北系ギターロックなんかを熱心に聴いていた人なんかは同じ流れで楽しめるような気がします。しかし兄貴分とされるムーンライダーズもそうですが、こういったベテランがゼロ年代に残した音源のパワフルさったらないですね。時代の流行とは無縁だった分、今になってなお変わらぬ輝きをより楽しめる作品かと思います。かっこいい。
Kevin Ayers『Joy of A Toy』('69)
元ソフト・マシーンのメンバーによる1stソロ、ということですがこれはもう純度100%の『カンタベリー』というやつですね。プログレ的な超絶技巧こそ感じられないものの、その牧歌的な歌心が余すところなく楽しめます。サイケデリックかつハートウォーミング。なんとなく数枚聴いてそれっきりだったんですけど、これはアーティスト単位で追った方がいいのかも。共演での録音も残されている通り、シド・バレットのソロが好きという方なんかでも楽しめるでしょう。ジャケで惹かれた人なら間違いなくニコニコ聴けるはず。
センチメンタル・シティ・ロマンス『センチメンタル・シティ・ロマンス』('75)
今となっては現存する最古のロックバンドとなったセンチメンタル・シティ・ロマンス(以下センチ)ですけれども、その1stアルバムになります。プロデュースに細野晴臣が関わっていることからもわかるように、はっぴいえんどの弟分的な日本語フォーク・ロック感がありつつ、もっと西海岸的なのんびりとした空気が支配的です。しかしこう、1975年のデビュー・アルバムにしてこれはちょっと出来過ぎというか、歌詞の世界観も含めてあまりにも完成してますね。今でも新人がこういうスタイルで出てきたらあざといと言われつつも歓迎されるんじゃないかと思います。あまり語られることはないものの名盤です。さすが堂島孝平も引用しただけのことはある。
カーネーション『Parakeet & Ghost』('99)
カーネーションの、わりと中古屋で見かける作品ですが、確かにこれは強烈です。ある程度ポップスとしてわかりやすかったここまでの何作かに比べて電子音などの加工による実験性が増し、曲数の多さとともに難解なイメージを与えています。くるりやGreat3なんかもそうですが、もともと地に足がついた音楽性だったバンドがシカゴ音響派的な手法でもって次の一手を探し求めるというような時代だったのではないかと思われます。とはいえ彼らの楽曲の良さはまったく損なわれることなく、特に歌ものはほかの作品と遜色ないクオリティなので、やっぱりインストがやたら多いのがアルバム単位の難しそうという印象に繋がっているのではないかと。いやしかし過渡期的とはいえ名盤です。表題曲とも言える「グッバイ! 夕暮れバッティング・マシーン」のカッコよさなんかもう、このバンド以外にやれないでしょう。バンド入門としてはほかのアルバムからなのかもしれないとは思いつつ、深く潜った音楽性はミュージック・ラヴァーに一度は聴いてみてほしいと思わされるものでした。すごいなー。

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