黒岡衛星の1日1枚1言

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坂本龍一『08/21/1996』('96)

 

08/21/1996

08/21/1996

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出てたのを最近知りました。坂本龍一の中でも有数に好きな、ピアノ、チェロ、ヴァイオリンで録音されたアルバム『1996』の中からの楽曲と、同じように録音されつつもアルバム未収録のカップリング曲を収めた4曲入りシングル。「1919」はレーニンのスピーチを同期させつつミニマル・ミュージック的な質感を持った楽曲。たぶんライヒの「ディファレント・トレインズ」に影響受けてるのかなぁと。似た怖さがありますね。「Sweet Revenge」は同名のアルバム・タイトル曲。坂本龍一のパブリック・イメージに近い、『泣ける』ヴァイオリンの旋律が印象的。そして個人的な目玉、「Self Portrait」。アルバム『音楽図鑑』収録のものは(嫌いじゃないんですが)どうしてもフェアライトのシンセの音が今ひとつピンとこないところもあって、こうしてアコースティックな編成で鳴らしてくれたほうが個人的には嬉しいっす。ちょっと久石譲なんかとも通じるような、シンプルな旋律でどこまでも泣ける作品。「真夏の夜の穴」はアルバム『スムーチー』収録曲のアレンジ。本人は確か嫌いだと言っていたような気がしますが、どことなくジャズのような雰囲気を持った曲。特にカップリング3曲の方に『泣き』が顕著な気がします。全体で19分と短いですが、アルバム『1996』のファンはもちろん、そうでなくともパブリック・イメージの坂本龍一が嫌いじゃないという人は聴いてみたらいいと思います。似たコンセプトで後にアルバム『Three』が作られますが、個人的にはこっちのが好きかなあ。

Dunkelziffer『Live』('97)

 

Live

Live

  • Fuego
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後にダモ鈴木バンドに繋がるメンツによる1985年のライブをリイシューしたもの、らしいです。さらに遡るとPhantom BandというCanの後進バンドにも繋がるということで概ねクラウトロックの流れということでいいかと。さて長い前置きはともかく、内容はといえばどっぷりサイケ。初っ端からマッドチェスターを先取りしたようなマシン風のビートにガンギマリのダモ鈴木が歌うんだか語るんだかよくわからない存在感を発揮するという11分の曲。トーン・クラスターぽいフレーズを弾くオルガンやアナログシンセっぽい音はやはりこうクラウトロックかくあるべしみたいなところもありつつ、ダモ鈴木はちゃんと歌うとGSやニューロックの頃の日本のバンドみたいになったり、後半になるとラテンみたいな祝祭感が増したりもして面白い方にめっちゃくちゃ。これは面白いなあ。時代柄?ダブやレゲエっぽいアプローチもキマってるし、そう考えるとリアル・ヒッピーのダモ鈴木とこの頃のロック(ポストパンク?)は相性いいのか。あんまり見かけるもんでもないかもしれませんけど、おすすめです。

SUBVERT BLAZE『SUBVERT ART』('90)

 

聴いてるのは元のCD盤ですが、あんまり録音がよろしくないよなー、という気がしていて、きっとライブだとマジで奇跡のカッコ良さだったんだろうなということも思いつつ、いや音の悪いCDってのもガッと音量を上げてやればまた違った風景が見えるもんなんですよねとデカめの音で聴いています。竿のえげつない歪みにガラッとした吐き捨て系のボーカル、豪快でいて死ぬほどテクニカルなドラムはとにかく爽快な『ハードロック』。いやーかっこいい。何やかや興味本位で2ndも元のCDを探してるんですけど見かけないですね。やはりコンプリート盤しかないのか。

UNISON SQUARE GARDEN『シュガーソングとビターステップ(初回限定盤2CD)』('15)

 

ボーナス・ディスクといえば。ということでずっと探してたんですがようやく入手しました。大ヒットした表題曲含む3曲入りのシングルと8曲のライブ音源を収録したボーナス・ディスクの2枚組初回限定盤。本編ディスクなんですけど、そういえば実はユニゾンのシングルをCD単位で聴くの初めてかもしんないす。表題曲はもはや『血界戦線』EDだったってことを知らない人も多そうなくらい流行りましたね。キャッチーでいてフックの効き方はもうユニゾンにしかできないであろう大名曲。カップリング2曲もそれぞれ名曲で、『3曲入りのシングル』という物理的な容量を軽く超えてくる満足感。その上でボーナス・ディスクは録音もよく選曲もほどよい感じでライブバンドとしてのユニゾンを堪能できるようになっています。途中で「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」のアウトロやドラムソロが入ってくるのも楽しい。中古屋で見かけたら、くらいでいいかもしれませんが、アルバムで聴いてるしとならず持ってる価値ある2枚組かと。

ツクモク『野菜と音楽』('13)

 

野菜と音楽

野菜と音楽

  • アーティスト:ツクモク
  • ブラジルコーヒーレコード
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DOIMOI杉山さんの影響で名古屋インディ・シーンみたいなものはなんとなく追いかけていて、このツクモクも名前だけは知っていたのですがようやく聴けました。タイトルとか帯の感じで想像する通りの『いい歌』とフルートでいい雰囲気だなあと思っていると意外とギターロック的なサウンドやドキッとする言葉遣いがフックとして効いてくる感じ。いやしかしほんとにこの、シャキッとしたギターロック風からレイドバックしたルーツィーなフレーズまでを弾きこなすギターが特に印象的でカッコいいす。日本のモダン・カントリーといった趣ながらくるりのような胡散臭さはなく、タイトル通りの生活に根ざした音楽として、オーガニックと現代のシティ感が同居してる感じと言いますか。「パイロット」名曲だなー。

Frank Black『93-03』('07)

 

 

なんというか、あまり聴かない『ベタなオルタナ』(っていうのも変な話ですが)の中では特に好きなのがピクシーズでして、なので関連してフランク・ブラックのソロも見かけたら買ってしまいがち。ボーナス・ディスク付きとかでお得感があるというのも大きいですが。というわけで今作もタイトル通り1993年から2003年までのソロ作からの選り抜きと、ボーナスとしてライブ盤が付いてくるというもの。しかもこのライブ盤が海外盤と日本盤だと選曲が違ったりして、こういうマニア泣かせな仕様はコレクター心をくすぐられます。こう、やっぱこの辺の世代はニール・ヤングの影響がデカいんでしょうか。歌そのものはへろっとしたフォーキーな歌い方のギターロック、という感じ。曲の良さとそれを損なわないシンプルかつ良質なアレンジでいつまででも聴けそうな感じ。ベスト盤ということも相まって、一家に1枚(2枚だけど)あっていいんじゃないでしょか。おすすめです。

Nirvana『MTV Unplugged in New York』('94)

 

MTV Unplugged in New York

MTV Unplugged in New York

  • アーティスト:Nirvana
  • Dgc Records
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レコード屋でこれの話題になったので久しぶりに聴いています。いやシンプルにいい。ニルヴァーナというバンドの魅力はそれに尽きますよね。曲がいい、声がいい、演奏もいい。いわゆる『グランジ』というジャンルを超えて愛されるのはそういうところなのかなと思います。メタリカなんかも多分そう。この演奏が『アコースティックなロック』のひとつの解答なのかも。説得力ありますよね。あまり触れられることはないですがクリス・ノヴォセリックのベースライン好きなんだよなー。