美しいノイズ、というものがあるとして、今作はただひたすらにそれだけを凝縮し拡張して時間いっぱいに鳴らし続けているわけで、それはたとえばシューゲイザーのギターだけが鳴っている(Rideの1stなんかと歪みの質だけならそんなに変わらない)ようにも聞こえるし、テレビの砂嵐ってアンビエント・ミュージックだよね、みたいなのとも通じるようなチルもある。今作に『無限大の幻覚』という邦題を付けたのが誰かはわからないのだけれど、たしかに何かこう、よく付けたなと感心してしまう。ポップ・ミュージックがショートケーキだとして、たとえば生クリーム部分の味わいをひとつ先に進めたような偉大さがある、のかもしれないな。