表題曲はおそらく現代において最も有名なタンゴであるということになってますけど、いやこれ改めて聴いてもえらいことですね。当時は『コンフント・エレクトロニコ』ということでドラム/エレキベース/エレキギター/シンセサイザーといった楽器を用いたタンゴの可能性を模索していたようですが、もうほぼほぼイタリアン・プログレですね。ポピュラー・ミュージックというか、軽音楽としてのタンゴということで、生ドラムのミニマルなフレーズから明らかに伝統的なタンゴではあり得ないフレーズのオンパレード。ピアソラ本人も晩年に振り返ってあれはちょっとと言っていたとかいないとか聞きますが、とにかくあまりにも大きなパンドラの匣でしたな。当初ヨーロッパで評価されたというのも大いに理解できますし、そりゃ『タンゴの暗殺者』とか呼ばれて物も投げつけられますわなと。ピアソラにしても最初聴くならキンテートものの方がお薦めかなとは思いつつ、ポピュラー・ミュージックの今は今作無くしては存在し得なかったとも言えるでしょう。我が国でもタンゴに限らず昭和の劇伴作家などは多大な影響を受けたのではないかと思われます。
