ピーター・ハミルの七作目、ということで気の利いたタイトルだなと思ったら八作目ですか。何か他にかかってるのかな。この時期はおそらくデジタルに移行しようとして多重録音に凝っていたようなのですが、電子音のチープさと本来彼が持っているパンクなボーカリストとしての資質のようなものが結実したロックンロール・アルバムに仕上がっています。もはやプログレバンドであるヴァン・ダー・グラーフの主催者としての面影は声色以外ほぼない感じですが、創作性としてはむしろ時代の移り変わりと彼自身のスタイルの変遷が重なってかなり極まっていると思われます。多くのプログレ・アーティスト達が時代の変遷について行けなかったことを思うとなかなかに凄い。異端な一方でデヴィッド・ボウイのようなブリティッシュ・ロックの王道を感じさせるところもあってこの時期の英国音楽を知る上でも貴重な作品かもしれません。キャリアの長い人ではありますがスルーは禁物で。
