もちろん嫌いということはなくともヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターというバンドに今ひとつ入り込めない僕としてはどちらかというとこういうピーター・ハミルのシンガー・ソングライター的な側面にこそ惹かれる感があります。91年という録音タイミングだからこそのニューエイジ的なサウンドメイクは好みの分かれるところかもしれませんが、シンプルで美しい歌を引き立てるような良いアレンジだと思います。何よりこのアルバムはピーター・ハミルという人のしっとりとした歌声が楽しめる作品として、たとえばセックス・ピストルズのジョン・ライドンが影響を受けたようなパンキッシュな叫びとはまた違った歌の表現を聴かせてくれるので強くおすすめしたい作品です。あまり目立たないけど代表作の一つと思う。