黒岡衛星の1日1枚1言

この"ブログで音楽の話しかしたくない"がすごい!第一位

カーネーション『Carousel Circle』('23)

なんとなくきちんと聴かずにいてしまったカーネーションの、いまのところ最新作になりますか。とにかく偏屈なイメージがあったバンドですが、骨太のバンド・サウンドによるロックンロールからしみじみとしたバラードまでひたすらに『いい曲』が並んでいることに驚かされます。これはカッコいい。頭でっかちなイメージはなく、あくまでフィジカルのポップ・ロックがここにあります。この時点で40周年ですけれども、たどり着いた先にある自然体、のようなものがあるように思います。肩の力が抜けた名盤。

椎名林檎『絶頂集』('00)

絶頂集 - 椎名林檎

絶頂集 - 椎名林檎

  • アーティスト:椎名林檎
  • ユニバーサル ミュージック (e)
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扱いとしてはシングルになりますですか。8cmCDの3枚組にそれぞれ3曲ずつ、当時の未発表曲を主にライブで発表したものからセレクトされた特殊な作品集であります。タイミングとしてはアルバム『勝訴ストリップ』の後ということでその後のシアトリカルな表現や、一転してポップ感のあるバンド・サウンドとなった東京事変ともまた違う、ギザギザにとんがったオルタナティヴ・ロックな彼女が楽しめます。バンド・メンバーもまた凄腕のセッション・ミュージシャンからアマチュアまでライブのコンセプトに合わせて幅広く、そういったところからは既に彼女のエンターテイナーとしての資質が見て取れるようでもあります。いわゆる下北系ギターロックがブームになる前夜のサウンドだということもあって、あらためて今聴いても得るものが多いのではないかと思います。うーん唯一無二。

細野晴臣『銀河鉄道の夜』('85)

銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜

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アニメ映画のサウンドトラックです。最近本編を観たのであらためて聴いてみたのですが、いいですね。ほどよくゴージャスでありながらけばけばしさのない、生音と電子音が調和した独特のサウンドは(この頃の)細野晴臣ならではのものでしょう。上野耕路なんかを思わせるような雰囲気は単体でも楽しいものですが、本編を観たあとだとやはり感動が違います。知らない映画のサントラとして聴くのもありかと思わせるような懐の深さもあれば、単純にサウンドトラックとして映画の感動に浸るのもあり、という映像の喚起力こそがこの作品の本当に凄いところでしょう。名盤だと思います。

King's X『Faith Hope Love』('90)

Faith Hope Love

Faith Hope Love

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アメリカのハードロック・トリオによる、これは3rdになりますか。グランジ/オルタナ/ミクスチャーの時代にしなやかなグルーヴと一癖ある歌メロで頭角を現したバンドですけれども、本当にすごい。ソウルフルなヴォーカルは一癖あるコード感によって暑苦しさに至ることなく、またおおらかなグルーヴもまた時代の徒花に落ちることなく今聴いても新鮮に響きます。ハードロックだからこうヘヴィメタルだからどうというよりは、フー・ファイターズのように『カッコいいロック』として広く聴かれたらいいと思います。録音もまたいいんだよなー。

Pink Floyd『The Piper at the Gates of Dawn』('67)

The Piper at the Gates of Dawn

The Piper at the Gates of Dawn

  • アーティスト:Pink Floyd
  • SONY MUSIC CANADA ENTERTAINMENT INC.
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『夜明けの口笛吹き』ですか。後にプログレッシブ・ロックの代表格となるバンドですが、この頃はまだシド・バレットをリーダーとしたサイケデリック・ロックをやっています。とはいえこの頃のロックのアート性が拡張されてプログレッシブ・ロックとなることを考えるとそう遠くない音楽性のようにも思いますが、その後と比べてわかりやすくビートの効いたロックンロール・ナンバーとポップソングが収録曲のほとんどを占めていることからもまだ開花前夜であるということが伺えます。とはいえ、今作収録の長尺曲「星空のドライブ」なんかを聴くとやはりピンク・フロイドはなるべくしてああなったのかと思うところも。次作から本格的に編成が変わることを考えても、バンドのディスコグラフィの中では異色作ではありますが、これはこれで英国ロックの重要作と言っていいでしょう。オルタナティブな質感のギターロックとしてはかなり古い部類のものかと思います。

Pantera『Cowboys from Hell』('90)

Cowboys From Hell

Cowboys From Hell

  • アーティスト:Pantera
  • Warner Music Interna
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まだ邦題が漢字二文字になる前ですね。今作から本格的にパンテラというバンドが覚醒していくきっかけとなった作品なわけですが、まだこの頃は(グルーヴィではあるものの)スラッシュメタル感が強いというか、次作にあるような革命的なサウンドという感じは薄いかもしれません。一方でそれが事実であったとして、それでもカッコいい、このバンドは特別だと思わせるような楽曲の質であったり演奏のクオリティであったり、あるいは録音の新しさであったりという要素が噛み合った『ヘヴィメタルの名盤』としての佇まいは確かだと思います。人によっては後期の極まった(今っぽい)表現よりも好きだということもあるでしょう。カッコよさにおいてほかの作品ともまったく引けを取らない作品に感じます。

Pantera『Vulgar Display of Power』('92)

Vulgar Display of Power

Vulgar Display of Power

  • アーティスト:Pantera
  • Warner Music Interna
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『俗悪』です。いやージャケット通りのいいパンチをもらうかのような重さがこれぞヘヴィメタルって感じです。後の作風と比べるとまだ前時代的なメタルの様式が残っているところがあり、新たな時代の入口に立っている感じが『誰からも愛される名盤』たり得たのかなと今になって思ったりします。今思うとバカテク・ギタリストとヘヴィ・グルーヴ・ドラマーの兄弟ってちょっとヴァン・ヘイレンと被るところもありますね。いやー名盤名バンドでありますことよ。個人的にはもう少し煮詰まった表現のほうが好きですが、名盤としてのバランス感は完璧でしょう。カッコいいのは当然として。