黒岡衛星の1日1枚1言

この"ブログで音楽の話しかしたくない"がすごい!第一位

東京スカパラダイスオーケストラ『Goldfingers』('10)

 

Goldfingers

Goldfingers

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ミニ・アルバムというサイズ感からかあまり言及されることはないですが名盤です。『歌もの三部作』コラボも2度やって一段落つき、さあ何か新しいことをやろうと手を付けたのが今作です。上原ひろみを迎えたリード曲「水琴窟」、菊地成孔をフィーチュアしたチャールス・ミンガスのカバー「Boogie Stop Shuffle」、1999年前後にレパートリーにしていた楽曲とフランク・ザッパのカバー(谷中敦氏は大のザッパ・フリーク)というスタジオ録音に加え、「流星とバラード」、「ずっと」という2曲の歌ものをDJ(中田ヤスタカ須永辰緒!)がリミックスしたものも収録されています。ダンス・ミュージックとしてのスカ、ジャズの子どもとしてのスカをスカパラなりに表現したらこうなったということで、『Goldfingers』とはまた粋なタイトルなんじゃないでしょうか。おしゃれな作品です。

Earth『The Bees Made Honey in the Lion's Skull』('08)

 

日本盤だと06年のライブ・アルバムがボーナス・ディスクで付いてきたのも嬉しかった作品であります。ものの本なんかではドローン・メタルの元祖的なことが書かれていますけれども、どちらかというと太極拳ばりにスローモーションになったアメリカーナですよねという。出自がグランジの隣人なのもなんとなく理解できる感じです。なので、評価が高い金属音でバキバキの初期よりもこうして柔らかな音になった時期が好きですね。ものすごくざっくりと言えばニルヴァーナとウィルコとブラック・サバスの真ん中に位置する音というか。スピリチュアル寸前のようでいてメタリックな俗っぽさがあるのがいいですよね。エクストリームかつポップ・ミュージック。

SOILENT GREEN『Confrontation』('05)

 

Confrontation

Confrontation

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暑い夏こそ辛いもの、というわけで盆も過ぎましたがグラインド・コアです。とはいえいわゆるグラインド・コア系よりも音楽的にカラフルというか一筋縄ではいかないところがあり、グラインド・コアでありながらスラッジ・メタルとも呼ばれる、みたいな独特のバンドであります。ただこの通底しているエクストリームで無骨な、芯の太いロック感みたいなものは間違いなくあり、そういうところがアメリカ南部ニューオーリンズのバンドなのかなと思わされる次第。その音楽性はブルータル・トゥルースにも近いんですがやはりニオイが違う。とはいえどっちもカッコいいんですけどね。エクストリーム・メタルとはいえロール感があってほしい僕としてはかなり理想的。

The Kinks『Everybody's in Show-Biz』('72)

 

Everybody's in Show-Biz

Everybody's in Show-Biz

  • Sanctuary Records
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なーんか好きなんですよね。代表曲「セルロイドの英雄」を含むスタジオ録音とライブ録音の2枚組(レコード当時)アルバムであります。もともとロックオペラ的なアルバムを好むバンドではありましたが、このあと『プリザベーション1,2』で大作志向になっていく手前であり創作意欲がサクレツしてますね。ガレージ・ロック的なバンドとしてスタートしたとは思えないホーンやピアノを多用した作風はイギリスの田園風景ってこんなかなと思わせるようなのどかな(しかし決してメッセージそのものは穏やかではない)ものでロックとしては渋めかも。しかしそんな田舎の風景も含めて『この世はすべてショー・ビジネス』なんですなーということで。そう思えばスタジオとライブが半々の構成もコンセプチュアルに見えてきますね。うーんアーティスティック。

Slide Hampton『The Fabulous Slide Hampton Quartet』('69)

 

いやーファビュラスのタイトルに恥じないグレイトな名盤です。ジャズ・トロンボーン奏者の名義ではありますが、ピアノ、ベース、ドラムと錚々たるメンツで揃えられた演奏は凄まじいテンションで展開していき軽く耳がふっ飛ばされるような感覚すらあるほど。軽音楽好きがトロンボーンという楽器の、またジャズという音楽の魅力を手っ取り早く知りたかったら今作はわかりやすくカッコよくてお薦めであります。ワン・ホーン・カルテットって胸キュン。

P.F.M.『Chocolate Kings』('75)

 

CHOCOLATE KINGS

CHOCOLATE KINGS

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チェリーレッドってマジで何でも再発してるな……。ともあれイタリアン・プログレの雄、中期?の代表作?であります。こうイタロ系は苦手意識があったんですが改めて聴いてみるといいですね。なんかハードな演奏に胡散臭い(失礼)ヴォーカルの感じは『幻惑のブロードウェイ』以降のジェネシスを聴いているような気分にもなりつつ。いやしかし本当に格好いいです。アベレージ的にテンションの高さが維持されており、どこから切り出しても無茶な演奏が飛び出す感じです。いいですね。久しぶりにベタなプログレ聴いたなー。

audio safari『ウルノソラ』('07)

 

ウルノソラ

ウルノソラ

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なんとも懐かしい。声がちょっと系統似てるってんでクラムボンなんかと並べられたり、というか当時ざっくりと『ポスト・ロックの影響受けてポップスやってる人ら』って一括りにされてしまっていた気がしますな。そういう意味では時代の音なんですけど、今聴いてもあまり古臭く感じないのはなんでしょね、エレクトロニカ的な音の中にさわやかな清廉さがあってそういうところなのかと思います。暑くても寒くても聴ける平熱の音楽。おすすめです。